ロサ オリエンティス カタログ 2019
- 2019/10/16
- 16:58

ロサ オリエンティス バラがあることで、人生に彩を
―人に寄り添い生きて、思い出に残り続けるバラ―
何気ない毎日、日々の生活を送る中、
ふと玄関先やベランダ、そしてお庭でバラが咲く。
繊細で優美な表情と豊かな香りに、思わず惹かれドキッとする。
そのバラを見ると心がときめき、胸が躍る…
時には気分がすぐれない事も、落ち込む事もある日常だが、
バラが咲けばそんな気分はどこかに吹き飛び、心地よく穏やかな気持ちになれる。
あなたの生活に寄り添いながら、非日常を感じられるバラがロサオリエンティスです。
2008年35歳の時、16年ぶりにフランスの育種家を視察し、
自分自身が忘れかけていたバラ育種への情熱が大きく動き始めた。
もちろん、「わかな」や「ラテアート」などを育種し、その間も育種を続けていたが、
何かを変えていこうというような大きな思いや希望はなかった。
何故なら良いバラを生み出したとしても、それを世に提案する場がなかったからだ。
「わかな」を25歳の時に作出したが、大手バラ園に提案してもまったく相手にされなかった。
今現在、グリーンのバラとしてガーデンローズの定番となっていることを考えれば、
私の選抜センスが悪かったわけではないだろう。
ただ単に愛好家が育種家を選べる時代ではなく、
大きな資本を持っている会社や昔からの老舗から、バラを受け身で買うしかなかった時代だった。
インターネットが始まり、育種家自身が自分のバラをプロデュースできるようになった。
それにより大手バラ園に売り込んでも売れなかった「わかな」は一晩で想定の10倍売れた。
そしてそのタイミングで渡仏した。運命としか思えない。
そういう意味で私は、インターネットの時代に、バラの愛好家の皆様が作り上げた育種家だ。
愛好家の皆さんの「なぜシュラブローズは、秋にあまり咲かないの?」
「なぜ夏は良い花が咲かないの?」「夏に元気がなくなるのはなぜ?」
そんな質問から、ロサオリエンティスの育種は始まった。
ロゼット咲きやカップ咲き等、
ロマンティックな花を咲かせるシュラブローズの四季咲き性を安定させた。
日本の高温多湿な夏でも、良く育ち美しい花を咲かせるバラを選び続けた。
私が育種し発表したバラが、いつしか50品種を超え、
国内外の新品種コンテストを受賞し、ブランドローズとしても好評を得た。
でもここで立ち止まってはいけない。これからロサオリエンティスの本章が始まる。
今後ロサオリエンティスが目指し実現するのは、バラの魅惑の系譜と屈強な系譜の完璧なる融合だ。
欧米では30年ほど前から、無農薬や低農薬でも育つバラの育種が本格的に始まった。
その象徴が昨年バラの殿堂入りした「ノックアウト」。
「ノックアウト」を始めてみた時には確かに耐病性は高いかもしれないが、美しさを感じなかった。
だが見続けているうちに、美しいバラに、このバラ以上の耐病性を共存させようと野望を抱いた。
何年も何年も、それを目指し育種した。数十万回の失敗を繰り返し、
今年やっとロサオリエンティス プログレッシオとして、その努力の結晶を発表する。
アジアのバラの環境は欧米よりも過酷だ。日本やアジアの高温多湿多雨の気候、
低緯度でも良く育ち、四季を通して花を咲かせ続ける四季咲き性をもち、
無農薬や低農薬でも育つバラを現実のものとしたい。
そして次のステージで花色や花形の多様性を目指す。終わりがないのがバラの育種。
目的地にたどり着いたと思えば、次の目的地がすぐに見えてしまう。
苦労ばかりだが、絶対に飽きることはない私の天職。
人生をかけても決して理想にたどり着けない遠い道のり。
だからこそバラの育種はおもしろい。
永遠の未完成これ完成なり、過去の偉人はそう言った.
育種の難しさ
子供のころの思い出に残っている植物は何ですか?
たんぽぽの綿毛に息を吹きかけ飛ばしたり、なずなを耳元で鳴らしたり、
笹舟を作り川に流したり、四葉のクローバーを見つけたりと、
田舎に生まれ育った私には、遊びの道具としての植物の思い出がほとんどです。
そこにバラはありません。
それは私が切りバラ農家の息子として生まれ育ったがために、
バラ=お手伝い=仕事という思い出しかないからです。
ところがバラの愛好家の方々にお話を聞くと、
おばあちゃんが大切にしていたピンクのバラをもう一度育てたいとか、
実家でお父さんが育てていた赤バラの名前が知りたいとか、
バラと思い出がリンクしている人がいます。
バラの育種の仕事をしていると、誰もが惹かれるような魅力的なバラを作り出したいですし、
病害虫にびくともしない強健なバラを作りあげたいとも思います。
でもきっと大切なのは、「人に寄り添い生きて、思い出に残り続けるバラ」なのだと思うのです。
おそらくそのようなバラの育種は足し算ではできません。
バラの花や枝葉の点数を足して総合点で点数の多い順に世に発表したら、
きっとつまらないバラばかりになります。
多少欠点があっても、それを上回る個性的な魅力があれば、
時に発表すべきなのです。まさに人間と同じなのかもしれません。
私自身も欠点だらけの人間なのですから。
Rosa Orientis ロサオリエンティス
ロサオリエンティスとは「東洋のバラ」の意味。
日本人好みの繊細でたおやかな花や樹姿、そして豊かな香り。
日本やアジアの高温多湿の気候、低緯度でも良く育ち、
四季を通して花を咲かせ続ける四季咲き性をもつ。
花の魅力と育てやすさは通常相反するもので共存は難しいが、
バラの最大の魅力は花と香りととらえ、そこを妥協することなく
耐病性や育てやすさの共存を目指している。
バラの未来を切り開くべく、日々取り組んでいる。
ロサオリエンティス プログレッシオ
ロサオリエンティスの性質をベースに、無農薬や低農薬でも葉を美しく維持し、
庭木や草花のような扱いで育てられる次世代のバラのサブブランド名。
名前は「進歩」や「前進」を意味するラテン語から。人がバラに求める理想の実現を常に求め続ける。
ローズクリエイター
木村 卓功
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